もう「時効」だろうから。
昨年だったかな。え? 一昨年だったか?
ある相撲協会関係者のAさんから「相談が……」と言われた。
どうも、翌週発売の週刊誌に、自分がたまたま紹介する形になった女性と力士との、
スキャンダル記事が出るらしかった。
「記事、事前に手に入りませんか?」
「OKよ。お安い御用!」
出版・報道関係って、雑誌が店頭に並ぶ前に「見本誌」が回ってくる。
知り合いを通じて、該当の記事をファックスしてもらったの。
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Aさんに記事のファックスを手渡した。
もう食欲もなくて、ここ数日ご飯が食べられなかったらしい。
本当に落ち込んでいたのを思い出す。
近所の公園で、ポツリポツリと話を聞いたんだけど。
自分のことはさて置き、告発した女性のことを、
「俺たちはある面、書かれてもしょうがない立場。でも彼女は一般人だし、
本当に情緒不安定な人なんだ。
週刊誌側に乗せられてこういう記事になったのか・・・
その後、週刊誌は彼女のフォローをしてくれるの?
彼女も時間が経ってから後悔したりして、また不安定になりそうだなあ」
なんて、この期に及んでも心配してた。・・・馬ぁ鹿。 お人好し。
でも。
すごく真面目なAさんだからなぁ。
長年の知人だった彼女に裏切られたこと、
結果的に自分が引き合わせてしまったのが発端、という自責の念。
(その記事の信憑性に関わらず)部屋の名前や師匠に泥を塗り、
ただでも騒がしかった相撲界に、
またひとつ「汚点」を作ってしまったという贖罪の気持ち……。
あの時のAさんの心境を考えると……想像を絶するわ。
「一杯飲もうか?」って誘ってみたけど、とてもその気にはならなかったみたい。
励ましようもなかったな。
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いつも書くほうの私だが。
「書かれるほうの気持ち」を目の当たりにして、ちょっと涙が出た。
というか、もう泣けてしょうがなかったわ。
たかが一週刊誌の記事に、人生を狂わされる必要は無いからね、
と言ってやりたかった。
でも。結果的に、ただの「与太話」扱いだったんだな。
その後、全~然、話題にもならなくてねぇ(笑)。
お互い、泣くだけ損だったんだわー。
それでも。あの時の、Aさんのしおたれた姿を見て・・・。
きっといいライターになります。私。絶対。
「教えてくれて」ありがとう、と思ったんだった。忘れていた。
いいことも悪いことも併せ呑んだ上で。
説得力のある記事を、「まあ、アイツが書くならしょうがねぇな」って
思われるライターになんなきゃなぁ、って思ったんだよな。確か。
今、相撲界はまたいろいろ問題があるけれど。
何を書いていいのか、私ごときが何を書いていいのかって逡巡する。
「顔じゃない」?
う~ん。いまだに全然ダメじゃん。・・・道のりは長いねぇ。