涙腺決壊。
ふと隣を見ると、わが妹も滂沱の涙・・・泣いている。
さすが姉妹だわ~。
「自分の経歴を考えると、今、こんな人生を送ってるのが不思議。もう30年以上関わってるけど、オレは介護関係の資格を、実は一個も持ってないの(笑)。資格じゃないんだ。経歴じゃないんだ。
知的障害者は、ヒトを見る目=その嗅覚が敏感。純粋だから好き嫌いが本当にハッキリしてる。健常者のあなたたちは『このヒト嫌い』って思ってるのに、その人と一緒に出かけたり、旅行する? しないでしょ? うま~く、やんわりと断わる能力がある。でも、彼たちは選択肢がない。別にさ、彼たちだって好きで障害者やってるわけじゃないんだよー。キライなヘルパーさんやなんかともお出かけしたり、『通ってる施設のイベントだから』って旅行に無理矢理行かされちゃうんだよな。『あなた嫌い』って言葉で表現できないから(略)使う言語が違うんだ、とまず認識していてほしい。自分のできる最大の表現で、こっちには理解不能な形で、暴れたり泣き叫んだり、自傷したり…その気持ちを精一杯に彼らは表してるんだよ。
今、なんでこの子はパニックを起こしてるんだろう・・・そうか、これが理由かな? と、障害者と同じ目線で考えられる、好いて好かれる魅力のある人間に、現場に関わってほしい。
障害者のご家族のためでもある仕事。ガイドヘルパーさんが外に連れ出してる時間に、家族は息抜きができたり、普段できないことができるんだよね。精神衛生上、お互いのためにもいい。今までは、『この子のことは私しかわからない。元気なうちは私がやります!』なんていう母親が多かったけど、もう親が高齢になっちゃったりで、大変なんだよ。もっと早く頼ってくれればよかったのによ、って思うの(笑)。
障害者のためにも、いろんな経験をさせるいい機会になるんだ。普段関わる家族や施設関係者と違う、第三者との関わりを知ることができる。障害者もいろいろレベルがあるけど、ひとつひとつの経験の積み重ねで成長でき、今までできなかったことができる・適応できるようになった例もすごく多いんだ。
特にダウン(症)さんと比べての話だが、自閉(症)さんはより奥が深い。びっくりさせられることばかりだよ。刺激的だねぇ。
オレね、まだまだ楽しいんだ。面白いんだよ、この仕事が。本当は、今日もこんなところで講師してるんじゃなくてさー。施設でみんなと遊んでいたいんだけどねぇ。ま、来年還暦だけど、まだまだ現場でやりますよ。答えがない世界。マニュアルなんてない世界だよ。『あれ?』って疑問を持たなくなったら、オレももう終わりだと思ってる」
そのほかいろいろ、
身内に障害者を持ってる私たちにとって、すごくウレシイ話ばかりだった。
目からウロコ。いろいろ腑におちて「勉強しなきゃね、もっと」
と、帰りの電車で妹と誓い合う。
「自己紹介のときに、『甥っ子が重度の自閉ちゃんで』と言っておいてよかったよね。じゃなきゃいきなり泣き出して、あたしたち変な姉妹だと思われてたよね~」
なんて話しても。
この先生、休憩時間に一緒にくだらない話をしてもいたんだけど。
「元静岡の暴走族の総長で400人兵隊がいた」そうだ。
「やっぱりー。同じ匂いがしましたよ~。私も千葉の印旛沼出身の・・・ハンパなレディースでしたから(笑)」
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資格取得できたら、なんだかこの世界・・・はまっちゃいそうな予感。
あ。 相撲ライターも変わらず頑張ります~。
双葉山は100年だけど、花子もこ今のこの仕事・・・ちょうど20年。祝。