初日は「天覧相撲」だった。
両陛下、よくぞお運びくだすった。
おふたりが国技館に来て下すってこそ、
昨年の相撲界の諸問題について「禊」が済んだという、
対外的な「暗黙の了解」にもなる。
今までも何回か天覧相撲は見ているが。
陛下がお入りになる様子を、初めて外で見てみた。
まず、国技館の正面入り口の「正門」がしばらく閉ざされて(1時間前くらい?)、
入場者は横っちょから入ることに。(空港にある金属探知ゲートをくぐらされるハメに)
陛下のお車が近づくと、正門がおもむろに開かれる。
まずは先導の白バイが1台入って来て、左ナナメ(写真奥)にピタッと止まる。
続いて右側ナナメにピタッと(写真手前)。
で、先導の車がナナメにす~っと止まって、
その後の2台目・陛下の御用車が(写真真ん中あたり)
きっちりド正面・赤絨毯手前に横っ腹をつけて「流れるように」停車。
で、後続車がまたナナメにす~っと止まって(×3台繰り返し。後続白バイもね)。
す、す、すばらしいフォーメーションなのである!
一糸乱れぬ、洗練されたハンドルさばき。(というのか?)
北朝鮮もびっくり! 石原軍団もびっくり! (・・・この例え、きっと違う)。
いいもの見させていただいた。
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で、本題。
近年、相撲部屋にも若い師匠が増えてね。
最初は力が入りすぎちゃうのかね・・・。
私は名実ともに「おばはん」の領域で、
「先代おかみ」「大おかみ」とお話する機会も最近、多い。
以前、弟子に部屋を継承したある「大おかみ」と話した際。
「若い師匠が自分流にやりたいのはわかるけれど、急いじゃダメなのよ。
周囲はやりにくくて困るって、私のところに相談に来る子も多いわよ・・・。
それじゃなくとも、まわりからやっぱりいろいろ耳に入ってくるものなの」
なんておっしゃってたなぁ。
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新年早々、某部屋で、ある若い裏方さんが逃亡してしまった、と聞いた。
新しい師匠のもと、師匠の指示でいろんな事務仕事などを任されてもいた。
「若いうちから仕込んで将来は片腕に」って見込まれていたのかな。
でも。
まだわずか16、7歳なんだよね。
まず一番大事な、相撲界内での自分の仕事を覚えるのも大変な時期。
料理人の修業でいう「追いまわし」状態だから。
そこで部屋の仕事まで任されたら、いっぱいいっぱいになっちゃうだろうなぁ。
自分の16、7歳の時のこと考えたら、気持ちがわかるってもんよ。
「子ども」だよね、まだまだ。
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「辞めるにしてもやり直すにしても、一度は部屋に戻って来いと保護者には話したんだけど。
本人と連絡が取れないし、退職届けを早速協会に出す。何かあったら遅いですし」
という親方の話を聞いて、切なくなった。
ちょっと待て。
「何かあったら」ってさ、よく考えてみると、
「その子が犯罪を犯すとか何かトラブルを巻き起こす」=「部屋が迷惑蒙る」ってことよね?
そっか。お前コノヤロ、「保身」だな?
まぁ、近年トラブル多かった相撲界だから、
「万が一にでも協会に迷惑掛けたくない」って
思うのもしょうがないか。
・・・でもなぁ。
正直、「冷たいなぁ」とも思った。
16歳の少年の、一時の気の迷いかもしれない。
力士なんて、何回スカして戻ってくるか(笑)。
今は連絡を取れなくても(1週間しか経ってないじゃん!)、
いずれ頭を冷やした彼が現れるかもしれない。
そこで不満や悩み、「弁明」も聞いてあげなきゃ。
そこで部屋側=師匠側にも改善点があるかもしれない。
「ボンナカ」きかせて今場所は病気などの「休場扱い」もできる世界だし。
そこまで急いで「切ら」なくてもいいのに、と思えた。
私が師匠だったら、いや、おかみだったら。
絶対に「一場所は待つ」。
今、こうして書いていても、ちょっとやり切れない思い。
「オヤジの厳しさ」も、もちろん大事な世界。
でも、やっぱり「母心」が出るんだろうな。 ・・・私、独身だけど(笑)。
もちろん私なんかが出る幕ではないのは百も承知。
部屋、師匠でそれぞれ方針も考え方もあるだろうが。
ただね、「傍で見ているからこそ」わかることも、多々あるのだよ。
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きっと私は表面上しか見ていない。
でも、私には16、7歳なりに(いや、それ以上に)しっかりしてて、
頑張っていたように見えた。
「一般社会の尺度」からで見ても、 「相撲界目線」で見てみても、感心してたくらい。
「将来が楽しみだね」なんて言ってた矢先だった。
嗚呼。16歳の少年の人生が、わずか1週間で変わるのか・・・。
なんとなく理不尽な気も、するのである。